東野圭吾 天使の耳







交通事故を扱った短編集です。
東野さんがかつて自動車関連企業で働いていたということで
東野さんらしさが出ている話と言えます。




天使の耳




御厨(みくりや)という苗字が出てきます。
他の話でも出てくる苗字です。


目が見えない御厨奈穂という少女の耳が交通事故を解決します。

奈穂の兄が事故を起こし亡くなりました。
奈穂は兄の無実を証明するため、その耳と記憶を使って、兄の無実を
証明して行きます。

奈穂の耳はまさに天使の耳で、1秒の狂いもなく音を記憶しています。
その驚くべき耳が事故の真相を解明するのですが、その耳で、もしかすると
警察を欺いていたのかもしれない、という話となっています。




分離帯




中央分離帯にまつわる話です。
トラック運転手の向井恒夫が分離帯に突っ込んだ事故で亡くなります。
この事故の謎を、向井の妻が執念で解明して行きます。

路上駐車していた車が原因らしいということが分かり、妻はその車の
所有者を突き止め、追いかけます。

そして妻が最後に取った行動が、復讐と言えるものです。

交通事故ですが、被害者からすると殺人と変わりません。
復讐劇を読んで下さい。




危険な若葉




初心者マークの話です。
運転歴わずか2か月の福原映子が後続車にあおられ事故に遭います。
命は助かりますが、事故を引き起こした後続車に復讐をします。

また別の殺人事件が起こります。
この別の事件とこの交通事故が繋がって行きます。

映子の復讐への執念を知ることができます。 




通りゃんせ




この本の中では一番と言える話です。
これも復讐と言えます。

路上駐車中の車に自分の車をぶつけてしまった前村敏樹が、その車の
所有者、佐原雄二に謝罪に行きます。

前村は雄二の車にぶつけてしまい、しっかりと修理代も払います。
そして謝罪の印として、別荘を貸すことにします。

恋人とスキーに行きたがっていた雄二は、スキー場に近いということで
その別荘を借ります。

別荘には前村も行き、料理をふるまいます。
前村は結構料理が上手いのです。

徹底してもてなす前村ですが、それには裏があります。
路上駐車していた雄二に、真実を教えるためです。

前村が、路上駐車していた車に自分の車をぶつけてしまった事情が
最後に分かります。

タイトルの「通りゃんせ」の意味も分かります。


前村の復讐、怒りを読んで下さい。




捨てないで




缶コーヒーの空き缶が車から捨てられ、後ろの車に乗っていた
女性の左目に直撃します。

その女性は失明してしまいました。
女性は結婚間近で、婚約者の深沢伸一が空き缶を捨てた犯人を探そうとします。

しかし手掛かりが少なく、見つけることはなかなかできません。

タイトルの「捨てないで」ですが、実は2つ意味があります。

もう一つ事件が起こります。
殺人事件が起こります。

この殺人事件と、空き缶捨て事件が繋がります。
どう繋がるのかは読んで下さい。




鏡の中で




読み終わるとタイトルの意味が分かります。
有名実業団のマラソンコーチが交通事故を起こします。

車と原付の事故で、原付に乗っていた19歳の男性は亡くなります。

車を運転していた人物もすぐ特定され、亡くなった男性もノーヘルだったことが
分かり、事故は解決と思われましたが、そうは行きません。


この事故には裏があります。

事故が解決した割には、不自然な点がありました。
そしてさらに調べるうちに徐々に事故の真相が分かってきます。

事故の裏には何かがあったのかですが、それが「鏡の中」となります。
「鏡の中」ですが、車のサイドミラーなどではありません。

話の途中に伏線があるので、丁寧に読んで下さい。




交通事故をテーマにした話ばかりです。
しかし逆転もあり、家族の話もあるので、東野さんらしいと言えます。
ページ数も少ないので一気に読めると思いますが、じっくりと読んで交通事故の怖さを
知って下さい。








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