東野圭吾 宿命







東野さんが語るには、「変身」のストーリーを固めるため
脳に関心を持ち、文献を読み漁っているうちに、この話が
誕生した、ということです。

変身」を読む前にこの話を読んで下さい。
宿命と変身はやはり似ています。



2人の男の話です。
2人とは瓜生(うりゅう)晃彦と和倉勇作です。


この
2人は幼馴染で、ずっとライバルでした。
仲が良い幼馴染ではなく、対抗意識を持った幼馴染です。

友達という関係ではなく、本当にライバルです。

そのライバルが大人になって対決する、ということになります。


瓜生は裕福な家庭に育ち、父親はUR電産という有名企業社長です。
しかし瓜生は父親の後を継がずに、大学の医学部に行き、医者を目指します。

一方和倉も医者を目指しますが、父親が病で倒れたこともあり
警察だった父の影響を受ける形で警察になります。


別々の道を歩んだ2人ですが、思わぬ形で再会します。


ある日、UR電産の新社長、須貝正清(すがいまさきよ)が殺されます。
日課となっているジョギング中に殺されたことが分かります。

この殺人事件の捜査をすることになったのが、和倉勇作です。
そしてこの殺人事件の容疑者として、名前が出て来たのが瓜生晃彦です。

警察と容疑者という形で、2人は再会します。

和倉はまだ独身でしたが、瓜生は結婚していました。
瓜生の妻は、美佐子で、和倉の元恋人でした。


10年以上前になりますが、和倉と美佐子は恋人同士でした。
美佐子の大学進学と、和倉の警察学校入学に合わせて
この2人は別れたのですが、思わぬ形で元恋人同士も再会しました。


和倉は、幼い頃からのライバルである瓜生晃彦と、その瓜生の
妻となった、元恋人である美佐子と捜査で何度も顔を合わせることになります。


殺人事件は、なかなか犯人が捕まりませんでしたが、怪しい人物はいます。

しかし真犯人ではありません。
真犯人は別にいました。


事件解決まで色々な事実が分かって来るのですが、過去の出来事が深く
関わって来ます。


その過去とは瓜生家の過去や、瓜生の妻の美佐子の過去、そして和倉の過去です。


この話も家族の話と言えます。
家族の過去が重要になってきます。


事件解決に向かう際、過去の意外な出来事がカギになります。
話に出てくるので、よく注意して読み進めて下さい。




最後には東野さん得意の逆転があり真犯人が分かるのですが
この話は、さらに逆転があります。


それは瓜生晃彦と和倉勇作の関係です。


この2人の過去が分かり、この2人の関係も分かります。

子供の頃からライバルで、意識しあって来た2人です。
決して仲は良いとは言えませんでしたが、大人になってこうして再会します。


この2人はこうして再会する宿命にあったとも言えます。


殺人事件の解決よりも、この2人の宿命がメインの話です。
2人に注目しながら読んで行って下さい。




またこの宿命も序章に始まり、終章で終わります。
プロローグ、エピローグという言葉は使われていませんが
展開は同じことです。


むかし僕が死んだ家」ほどではありませんが、序章の意味が
徐々に分かるようになっています。

序章を踏まえながら読んで行って下さい。
意味が分かるとすっきりします。

1990年発表で東野さんの初期の頃の話ですが、完成度は高いです。







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