大沢在昌 狼花 新宿鮫\







新宿鮫シリーズ第9作です。
25回日本冒険小説大賞受賞作です。

この第9作で、新宿鮫シリーズの話は大きな区切りを迎えます。
この話で、これまでの流れが終わる、という感じです。


新宿署の鮫島を語る上で欠かせないのが、同期のライバル香田警視正と、犯罪を繰り返している仙田、この2人です。
この2人がこの話の中心になります。

そしてついに仙田の正体が分かります。


話は最初から核心に迫る内容と言えます。
何の話なのか分からないということがなく、最初から最後まで鮫島、香田が出てきます。

そして途中から深見も出てきます。


深見は仙田の偽名です。
仙田という名前も偽名です。


仙田はこの話では大きな存在です。


鮫島と香田の対立、そして鮫島と仙田、さらには香田と仙田、という対立があります。



泥棒市場を捜査する警察と、その泥棒市場を仕切っている暴力団の話になります。

泥棒市場はその名の通り、泥棒の市場で、盗品などが売買されている市場です。
裏社会で、暴力団が絡んでいます。


その暴力団は稜知会という日本最大規模のもので、警察も対応に苦しむ大組織です。
また、この泥棒市場に外国人も入ってきます。

ナイジェリア人が少し関わってきますが、中国人女性、明蘭が活躍しています。


この明蘭は、日本語が堪能でハーフとも間違われるくらいです。
元々はホステスでした。
その時、深見こと仙田と出会っています。


深見と出会い、明蘭は泥棒市場で働くことになりました。
その泥棒市場で明蘭は毛利という男性に出会います。

毛利はバイヤーで薬を扱っています。
明蘭は毛利と深い仲になって行きます。


深見、明蘭、毛利という3人の人間関係も大事になります。


また毛利も偽名で、本名は石崎謙一と言います。
石崎は実は稜知会の人間で、大きな力を持っています。


警察は当然、この泥棒市場を捜査し、つぶしにかかります。
しかし一筋縄ではいきません。


警察は香田が責任者となり捜査をしています。
香田は泥棒市場を何とかするよりも、外国人犯罪者を排除したい考えを持っています。

香田の考えはあくまでも外国人犯罪者排除であり、稜知会、泥棒市場を撲滅させることではありません。

この考えが、最後に繋がってきます。


香田は泥棒市場に関わっている外国人犯罪者を無くすため、裏取引をしています。
それは稜知会と手を組む、ということです。

裏で警察と暴力団とが繋がっていたのです。


これはもちろん鮫島も知っており、仙田も知っています。


香田は外国人犯罪者撲滅のためには手段を選びません。
この行動に香田は警察人生を賭けます。


話は単純と言えます。


常に泥棒市場と警察が出てきます。

泥棒市場は毛利、明蘭、深見が中心です。
他にも色々な人物が出てきて、色々な行動をとりますが、常にこの3人が中心です。


警察は鮫島、香田が常に出てきます。
香田と鮫島が直接言い合う場面もあります。



実はこの話で大事なのは、深見こと仙田の考え方です。
仙田は鮫島と繋がっているようで、繋がっていません。

仙田と鮫島は微妙な、少しおかしな関係です。
犯罪者と警察なのですが、考え方が少し似ている感じがあります。


仙田は鮫島を一旦は殺そうとします。
しかし仙田の本当の敵は鮫島ではありませんでした。


仙田はまた、明蘭を挟んで毛利とも対立しています。


仙田と明蘭は深い仲ではなかったのですが、明蘭を思う仙田は毛利と対立します。


仙田は一人で動いていることもあり、その動きがなかなか読めません。
この辺りは鮫島と似ています。


仙田の行動、考えがとても大事になる話です。
深見こと仙田に注目して読み進めて行って下さい。



泥棒市場がどうなるのか、というよりも、仙田が何をするのか、ということが大事です。
この話は仙田の話です。


鮫島の敵であった仙田が何者で、何を考えていたのかが分かる話です。


実は仙田は、正義感の強いところがありました。
それゆえ、許せないことがあります。


その許せないことをしている人間を殺そうとします。

自分の命を賭けて、仙田はある人物を殺そうとします。
しかし、鮫島が立ちはだかります。


最後の最後で、この話の全てが分かります。
ハードボイルドらしい最後が待っていますが、最後は仙田で終わると言えます。


この話は仙田の話です。
鮫島の敵である仙田に注目して読み進めて行って下さい。

仙田が許せない人間は誰だったのか、ということが大事です。







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