大沢在昌 氷舞 新宿鮫Y







新宿鮫シリーズ第6作です。
これは屍蘭と似ているとも言えますが、新宿鮫シリーズらしい話です。


屍蘭と似ていると言うのは、女性が中心である、という点です。
この氷舞でも女性が重要となってきます。


話は複雑に入り組んでいます。
別々の事件が一つに繋がってきます。


新宿鮫シリーズでは結構大事な話になっており、一つの分岐点とも言える内容です。


鮫島のキャリア、鮫島と晶の関係、鮫島の同期でライバルの香田の変わりぶり、また炎蛹で出て来た鮫島の敵
仙田の存在など重要な話が満載です。




西新宿のホテルでブライドというアメリカ人が何者かによって殺されます。
このブライドは元CIAであることが分かり、暴力団の平出組と繋がっていました。

そしてブライドと平出組を繋いだのが、立花という元刑事です。
この立花には「部長」という大きな存在がいます。


その「部長」は常に立花に影響力を持っており、また警察をも動かす力を持っています。



鮫島はクレジットカードの偽造で犯人を追っていました。
そしてそこで、ある女性と出会います。

クレジットカードを盗まれ、被害に遭った杉田江見里(えみり)と出会います。
鮫島はこの江見里に惹かれて行きます。

そして江見里は事件の重要なカギを握っています。


話は常に複数の出来事、事件が起こっています。
バラバラの話が進んで行く感じです。


また鮫島の敵である仙田が鮫島に連絡してきます。
仙田は危険を冒して、鮫島に会いに来ます。

仙田と鮫島は短い時間ですが、直接話を持ちました。
しかし仙田を逮捕する決定的な証拠がないため、鮫島は仙田を逃すことになりました。


仙田が事件の裏で動いていましたが、仙田の話は少しだけです。



話は進むに連れて、徐々に形が見えてきます。

立花、そして「部長」である京山が中心となってきます。
そこに江見里が絡んできます。


また、逗子で事件があり、その事件も当然絡んできます。


この話の裏には、23年前と12年前の出来事があります。
政治が絡んでおり、CIAも絡んできます。



色々なことが絡んでくるのですが、大事なのは江見里が実は中心にいる、ということです。

江見里はこの話で一番重要な人物です。
しかしそれが分かるまで時間がかかります。


実際には江見里の親が昔の事件に関わっており、江見里が今になって事件の真相を知り
復讐を果たそうとする、ということです。



女性が犯罪をするという点も屍蘭と似ています。
しかしこの話では、ハードボイルドらしく江見里も暴れます。


やはり激しく暴れないとハードボイルドではありません。
かなり派手に暴れます。


話はコロコロと変わるようですが、実は一つに繋がっています。


話の途中では、鮫島とライバルである香田が数回接触します。
香田も捜査で妨害を受けており、鮫島と同じような立場に立たされます。


思うように動けない香田が鮫島と協力するような形になります。

また、香田の気持ち、素顔も少し知ることができます。
違った香田を読んで確かめて下さい。



話はもちろん最後に向かいますが、最後の方は江見里が中心です。
江見里の復讐劇が待っています。


色々な話が出てきて、複雑に絡み合っているので混乱するかもしれませんが、丁寧に読んで
行けば楽しめます。



江見里に注意しながら読み進めて行って下さい。

また江見里に惹かれてしまった鮫島と、晶の関係も大事になります。
鮫島と晶は区切りを迎えます。


お互い気持ちが離れかけます。
この2人の関係にも注目して読んで行って下さい。







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