東野圭吾 片想い







性同一性障害を扱ったものです。
東野さんはこの話のため、日本初の性転換手術が行われた埼玉医大にも取材に行かれています。


元帝都大学アメリカンフットボール部のクォーターバックで、今はスポーツライターの西脇哲朗を
中心に話が進んで行きます。


その帝都大学アメリカンフットボール部のOBたちが1年に1回集まります。
その集まりには出なかった元マネージャー日浦美月と西脇と元キッカーの須貝が再会します。

そこで日浦が男性になっていることが分かります。

しかも日浦は人を殺したと告白します。
性転換をし殺人までしてしまった元マネージャーの日浦を何とかしようと西脇たちは動きます。


話は色々なことが複雑に絡んで行きます。


まず性同一性障害、さらに殺人事件の真相、またアメフト部の友情、そして日浦の運命、こういうものが
絡み合って話は進んで行きます。



日浦が女から男に変わったことも大きなテーマですが、殺人事件も大事です。
この殺人事件には裏がありました。


日浦への対応と、性同一性障害の話が同時進行します。
常に性の話が出てきます。
そこには性同一性障害以外の性の話も出てきます。

東野さんらしくスポーツの話が出てきますが、半陰陽、つまり男女両方の機能を持っている
陸上選手の話もあります。


性の問題は、性同一性障害だけではないことが分かります。
世の中には色々な性の問題があり、また考え方があることも分かります。

最初から最後までずっと性の話です。
性についてかなり考えながら読むことになると思います。



この日浦という元マネージャーですが、実は複雑な人物です。
学生時代は中尾という元ランニングバックの男性と交際していました。

この2人はやがて別れますが、日浦はその後、別の男性と見合いをし結婚をします。
そして出産もします。

日浦美月は女性として生きていました。
しかし男になることを決断し、家族と離れます。

また体は女で心は男なのですが、実は本人も気が付いていない問題があります。
それは最後に分かります。


一方で殺人事件も徐々に真相が分かってきます。
真相は結構複雑なので、丁寧に読まなければなりません。


殺人事件の謎が解けて行く最中で、元タイトエンドで今は新聞記者の早田と西脇たちは対立することになります。
昔の友人が今は敵となります。



早田は独自の取材で殺人事件の真相に迫ります。
そして真相を記事にしようとします。

早田と西脇の対立、また友情関係も最後には重要になってきます。



もちろん最後には謎が全て解け、日浦がどうなったのかも分かります。



この話は、東野さんらしく家族の話にもなっています。



性の話が中心ですが、色々な家族の話とも言えます。
それぞれが大学を卒業し、結婚もし、家族を持つようになりました。

しかしなかなか上手く行きません。
西脇も結婚生活が上手く行っていません。


結婚し、それぞれがどういう道を歩んでいるのか、という話でもあります。
東野さんらしく問題を抱えた家族が多く出てきます。

家族から見た性同一性障害の問題もあります。



色々なところで東野さんらしさが出ています。


ただし、個人的なことですが、性をずっと扱っているせいか、なかなか話に入って行けませんでした。

少し人間関係がややこしいところもあり、思うように読書が進みませんでした。
人によってそれぞれ違いがあると思いますが、少しややこしい個所もあるので丁寧に読み進めて行って下さい。


また、文庫本の表紙もしっかりと意味を持っています。
表紙はメビウスの帯です。

この意味は読んで行けば分かります。








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