東野圭吾 祈りの幕が下りる時







加賀恭一郎シリーズです。
書き下ろしで、いきなり発売されたこともあり、東野さんの力の入れ方が違う印象を受けました。


この話では、加賀の母親がどんな女性だったのか分かります。
いきなり加賀の母親の話から始まります。


また加賀の母親とは別に、事件が起こります。
押谷道子という40代の女性が幼馴染を訪ねた後、殺され、遺体で発見されます。
その幼馴染は浅居博美という女性演出家です。

また押谷道子は越川睦夫(こしかわむつお)という人物のアパートで亡くなっていました。
この越川は行方不明です。


押谷道子と越川、そして浅居博美の関係が大事になります。

道子と越川は繋がりがよく分かりません。
博美と越川も繋がりが不明です。


誰と誰が繋がっており、裏で何があったのか、加賀の話と絡めて徐々に明らかになって行きます。


まず捜査に当たったのは加賀の従弟である松宮です。
松宮が加賀に相談する形で、加賀も捜査に加わるのですが、加賀と浅居博美は剣道教室で面識がありました。


加賀と博美が最初から繋がった形で話は進んで行きます。


この話も東野さんらしく、家族の話です。

加賀の家族はもちろんですが、浅居博美の家族の話にもなります。

博美には早い段階で警察から疑いの目が向けられます。
しかし動機もなく、殺害する機会もありません。


怪しいのですが、犯人とは断定できません。

博美の話が中心となってきます。


話は博美が中学生の時に戻ります。
その時にあったことが、今に繋がります。
30年前の出来事が、今の殺人事件に繋がってきます。


また加賀の母親の話も相変わらず出てきます。
加賀の母親がなぜ家を出て行ったのか、その後どんな風に暮らしていたのか分かります。


加賀の家族の話は以前から出てきていましたが、母親の話はこれが初めてです。
母親の話は何の関係もなさそうなのですが、実はこの殺人事件と繋がってきます。


加賀の母親と、殺人事件、そして博美の過去が徐々に繋がってきます。


加賀の家族の話も大事ですが、博美の家族の話も大事です。
博美も母親が出て行き、父子家庭になります。


その後、父親は亡くなります。
借金苦から自殺を図りました。


博美は養護施設に預けられ、そこで中学、高校生活を送ります。
その後、芝居の道に進むのですが、大人になっても過去と繋がった生活を送っていました。


父親思いの娘、とも言えますが、父親が娘を大事にしていた、ということも明らかになってきます。

博美と父親は強い繋がりを持っていました。
そしてその関係が30年経っても続いていたのです。

父親は自殺を図ったということでしたが、この自殺にも裏がありました。
そしてこの自殺の裏が、加賀の母親とも繋がってきます。


何の関係もないと思われた出来事が、最後には一つに繋がってきます。


最後まで博美の話が続くとも言えますが、加賀の母親の話が続くとも言えます。
加賀の母親の息子を想う気持ちなども分かります。


加賀、博美ともに父子家庭です。
しかし母親がいなくなった事情は異なります。


またそれぞれの母親の愛情も違います。
さらに父子家庭の事情も違います。


2つの家族の話を展開させ、上手く話をまとめていると言えます。

最後にはもちろん事件は解決します。
解決というよりも、謎が全て解けます。


押谷道子を殺した犯人、行方不明になった越川睦夫の行方、そして30年前の博美の父親の自殺
さらには加賀の母親の最期も分かります。



最後までじっくりと読んで下さい。
一気に読める話だと思います。


加賀恭一郎シリーズの一つの区切りとも言える話です。







東野圭吾のページ