大沢在昌 炎蛹 新宿鮫X







新宿鮫シリーズ第5作です。
最初読んだ時は面白くなかったですが、再読してみて、その面白さを発見しました。
これは本当に読んでいて面白く、楽しいです。

複数の事件が絡み合い、多くの人物が交わり、常に複数の話が同時進行します。


イラン人、コロンビア人、中国人という外国人の抗争があり、連続放火事件があり、街娼殺人事件があり
そして害虫を追いかける話もあります。



どの話が中心なのかは難しいですが、害虫を追いかける話が中心とも言えます。
殺人事件ではありませんが、この害虫追跡と殺人事件が絡んできます。


そしてこの話でも、名キャラクターが出てきます。


それは害虫を追いかけている、横浜植物防疫(ぼうえき)所のベテラン防疫官、甲屋公典(かぶとやきみのり)です。

この甲屋と鮫島が行動を共にします。


鮫島は殺人事件、放火事件を追いかけ、甲屋は害虫を追いかけます。

甲屋が追いかけている害虫は「フラメウス・プーパ」という南米からやってきたもので放っておくと
日本の米がダメになるという害虫です。


害虫はまだ蛹ですが、羽化すると日本の米を食いつくすので、羽化するまでにその害虫を全て
駆除しなければなりません。


これは時間との戦いです。



放火事件があり、殺人事件があり、外国人同士の抗争があり、そして害虫追跡が常に同時に起こります。
また、犯人側から見た話もあります。

これは少しややこしので、丁寧に読んで下さい。


放火事件と殺人事件は別です。
つまり犯人は2人いるのです。

もちろん動機も別です。
丁寧に読んでいないと同一人物と勘違いします。



放火事件と殺人事件の捜査に警察は動きますが、ハードボイルドなのでハードボイルドらしい話が最後に
用意されています。

やはり新宿鮫です。
鮫島も負傷しますが、大きな怪我ではありません。



また、この話では、後に重要となる、仙田という人物が出てきます。
鮫島の敵となる人物で、謎めいています。

仙田は語学堪能で、南米とパイプがあり、コロンビア人やイラン人の面倒を見ている人物です。
もちろん犯罪側の人間で、鮫島が追いかけますが、捕まりません。


仙田の周りで事件が起こり、仙田の周りで人が死にます。
しかし仙田は事件には巻き込まれません。

仙田は常に一歩先を行き、追跡を交わし、被害に遭うことはありません。

仙田と鮫島という非常に大事になる関係が出てきます。
仙田に注目して下さい。

新宿鮫シリーズで仙田はとても大事になります。




話ですが、徐々に解決して行きます。
放火犯、殺人犯と身元が分かって行きますが、やはりこの話の中心は害虫追跡なのです。

タイトルも「炎蛹」となっている通り、害虫追跡がメインです。
害虫追跡と殺人事件、外国人の抗争が繋がっており、話を一層面白くします。


最後は害虫を見つけるのですが、最後の最後に、防疫官の甲屋が見せます。
というよりも甲屋が無理なことをします。


甲屋は警察ではありませんが、話では鮫島とウマが合い、良いコンビになっています。
また鮫島の恋人、晶とも呼吸が合います。

甲屋という名キャラクターのおかげで、この話は面白くなっています。
甲屋中心に読んでみると面白いです。


最後にどういう結末が用意されているのか、楽しみにしながら読んで行って下さい。
この話は、多くの話が複雑に絡まっていますが、本当に楽しく読めると思います。

個人的は読んでいて、ずっと楽しかったです。







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