横山秀夫 クライマーズ・ハイ







横山さんは元新聞記者で、日航ジャンボ機墜落の時、新聞記者をしていました。
その時の経験を生かした話です。


北関東新聞の記者、悠木和雅が主人公です。
悠木の新聞社内での地位、働きぶり、そして私生活が色々と出てきます。


日航ジャンボ機墜落時の新聞社の大混乱ぶりが分かる話ですが、実は悠木の家族、私生活の話でもあります。

悠木は40歳で、息子と娘がいますが、息子とは上手く行っていません。
息子は中学生でちょうど反抗期です。

悠木と息子の話も見逃せません。



日航ジャンボ機がある日、群馬に墜落します。
北関東新聞、通称「北関」は群馬の地方新聞社で、この事故を大々的に扱います。

悠木はこの事故の全権デスクを任されます。
つまり、この事故を扱う責任者です。


悠木は新聞記事をどうするのか常に戦っていますが、新聞社の責任者ではありません。
悠木と周りの人間が常に対立します。
新聞社内の派閥抗争などもあります。

この事故は北関にとって大きな事故なのですが、いわゆる「もらい事故」という考えがあり、北関の上層部は
それほど力を入れようとはしません。

新聞社内の温度差が問題を産みます。

新聞は紙面をどうするのかという問題が常にあり、新聞社内で対立が普通にあります。
悠木は色々な人物と対立しながら仕事を進めますが、簡単に仕事ははかどりません。

本当に新聞社の混乱ぶりが分かる内容です。



またこの事故の話は過去の話で、今はあれから17年経ったという設定になっています。
昔と今が同時進行して行きます。



今の悠木は57歳で、群馬にある衝立岩に登ろうとしています。
悠木はかつての同僚、安西の息子と衝立岩に登ることになりました。

安西は17年前、ジャンボ機墜落の事故で慌ただしい中、いきなり倒れ入院してしまいました。
実はその時、安西と悠木は衝立岩に登る約束をしていました。

17年前に果たせなかった約束を、17年後、悠木は安西の息子と果たそうとします。



安西の話は17年前の事故の途中でも出てきます。
安西は山登り経験者で、悠木と一緒に衝立岩に登るのを楽しみにしていました。

しかしその直前に倒れ、入院する羽目になりました。


また悠木と息子の仲も常に話に出てきます。
悠木と息子は本当に上手く行っていません。

息子が反抗期ということもありますが、会話らしい会話もなく時間が過ぎて行きます。



この本のタイトルは「クライマーズ・ハイ」です。
これは山登りの言葉で、事故とは関係のない言葉です。


やはり山登りの話と言えます。
事故で慌ただしく動き回る悠木の話でもありますが、山登りの話です。


悠木の私生活が実は中心と言えるので、悠木の私生活に注目しながら読み進めて下さい。


安西がなぜ倒れたのかも大事になります。
また、安西の山登りの経歴も見逃せません。


この本を読んでいると、地方新聞社の現実が分かります。
時代も分かるようになっています。


横山さんは上毛新聞社の記者として12年働いていました。
群馬の新聞社でまさにこの事故が起こった時に働いていました。

横山さんしか書けない迫力のある内容となっています。

しかし大事なのは主人公の悠木の私生活です。
悠木の私生活に注目して読んで行って下さい。


悠木は最後、大きな決断を迫られます。
決断をしたのかどうか、また悠木は最後どうなったのか読んで下さい。








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