東野圭吾 白夜行







850ページの大長編です。
何かと話題の話ですが、とにかく引き込まれます。

東野さんによると「ある人物の成長過程を描き、それがそのまま犯罪小説になる
というものを書きたかった」ということです。


主人公の子供の時から約19年間の出来事が書かれています。

主人公は雪穂と亮司の2人です。
この2人が中心となり話は進みますが、この2人が直接関わることはありません。
しかし裏では何かが常に動いています。


雪穂と亮司が小学生の時から話は始まります。

1973年に大阪で質屋殺しがありました。
その殺された質屋は亮司の父親で、犯人はなかなか分かりません。
この殺人事件絡みで雪穂と雪穂の母親も出てきます。

雪穂の母親と亮司の父親が知り合いでした。
もちろん普通の知り合いではありません。

しかし雪穂と亮司は繋がっていません。

この質屋殺しは解決しないのですが、雪穂と亮司のその後に大きく影響してきます。

また雪穂の母親が自宅で亡くなりました。
事故死か自殺か分からない亡くなり方で、雪穂が発見しました。

この母親の不審死も雪穂の将来に繋がってきます。


雪穂と亮司は中学生になり、別々の学校に通います。
亮司の中学校は荒れている学校で、常に問題がありました。
東野さん自身、荒れている中学校出身なので、東野さんの過去を読んでいるようです。

一方、雪穂は私立の女子中学校に通っていました。
亮司とは全く別の学校ですが、しかしこの2人には間接的に少し接点がありました。


高校生になると、亮司は周りの者とは違う雰囲気を出し始め、少し怪しいことをし始めます。
徐々に亮司が変わって行きます。

雪穂は私立の女子高に通っていました。
ここでは雪穂と亮司には表立った接点はありません。
しかし裏では繋がっていたと思われる出来事があります。


雪穂はそのまま大学に進みますが、亮司は仕事を始めます。
亮司はコンピューターの知識を生かして、偽造キャッシュカード作りを始めます。

亮司がしていることは犯罪絡みのことで、常に裏で何かをしています。
しかし具体的なことは分かりません。

裏に誰がいるのか、どういうルートがあるのかは謎のままです。
亮司には常に謎があります。

ただ、この頃も亮司の裏には雪穂がいたと推測ができます。




一方雪穂は大学に進みます。
そこでダンス部に入り、色々な人物と出会います。
そして大学時代にも事件が起こります。

雪穂が絡んでいると思われる事件ですが、詳しいことは分かりません。
雪穂も謎めいているのです。

この大学時代の人間関係がその後も続いて行きます。


雪穂も亮司も成長し大人になって行きますが、この2人は繋がったままだと考えることができます。
しかし具体的な話は全く出てきません。

雪穂、亮司の視点がなく、周囲の人間から見た2人という感じなので、詳しいことは
最後まで分かりません。

これだけ主人公が謎めいている話も珍しいです。


雪穂、亮司ともに上京をします。
この上京も2人で決めたことではないかと推測できます。

雪穂はその後、大学時代に知り合った高宮誠と結婚します。
しかし高宮には結婚する直前に出会った女性、三沢千都留(ちづる)がいました。

高宮は雪穂と結婚直前に別れ、千都留と結婚するかどうか迷いましたが
結局雪穂と結婚をしました。

また雪穂との結婚直前、少し謎の出来事が起こります。
その謎の出来事も雪穂が糸を引いていた可能性があります。


雪穂と高宮の結婚ですが、雪穂には相変わらず謎めいていたところがあり、高宮とは
上手く行っていませんでした。


そして高宮はある日ゴルフ練習場で、千都留と偶然再会します。
この偶然の再会から2人は急速に接近し、高宮と雪穂は離婚することになりました。


実はこの離婚も雪穂が仕組んでいた可能性があります。
計算をした離婚と言えなくもありません。

そしてその裏では亮司が動いていました。
亮司と雪穂が組んで、離婚に持って行ったと考えることができます。


雪穂には常に裏があり、計算して動いています。
そして雪穂の裏で亮司が動いていたと考えることができます。



雪穂と亮司は一心同体のようでした。
この2人の接点は全く不明なのですが、この2人が同時に動いていたと考えると
色々なことの辻褄が合ってきます。


小学生時代から19年間、この2人で生きて来たと言えるのですが、本当に具体的なことは不明なままです。

この2人が恋人関係だったとは思えないのですが、恋人以上の強い繋がりを持って
いたと言うこともできます。



雪穂は高宮と結婚している時、株を始めます。
その資金はどこから出て来たのか不明ですが、亮司がお金を出していたと考えると納得ができます。


雪穂が株を始める前、亮司は2000万円ほどを手に入れていた可能性があります。
雪穂は最初から大金を株につぎ込んでいるので、このお金亮司から出ていたと考えることができます。

しかし具体的なことははっきりしません。
相変わらず雪穂、亮司は謎のままです。


雪穂はその後、ブティックを経営し、再婚もします。
ブティック経営は順調で成功を収めます。
亮司は姿を見せませんが、亮司が裏で動いていたことは間違いなさそうです。

雪穂の成功の裏には常に亮司がいたと思われます。
しかしこの2人の関係は最後まではっきりしません。

雪穂が表で亮司が裏、ということになりますが、亮司は亮司で自分の人生を歩んでいたとも言えます。


雪穂は成功を収めますが、亮司は裏のまま生きていました。
そして最終的には亮司は命を落とすことになります。

雪穂は成功し生き続け、亮司は亡くなるという極端な結末が待っています。



最後までぐいぐいと話に引き込まれると思います。
雪穂と亮司の2人の話ですが、色々なところに伏線が張られているので、丁寧にじっくりと
読んで行って下さい。



また読み終わった後、自分でこの話を考えて下さい。
人によっては理解の仕方が異なる話です。

読み終わってからが本当の始まりです。
本当に謎だらけの話なので、謎の部分を自分で考えて、どうなっているのか自分なりに
解釈して行って下さい。



なお「トラウマ」という言葉は一切出てきません。
「トラウマ」とは違う話と言えます。

過去の出来事が今に影響している話ではありません。
過去から今までずっと続いている、という話です。
子供の頃から変わっていないとも言える話です。




子供の時からずっと雪穂と亮司の関係は続いています。
2人とも謎のまま大人になって行きました。



850ページある本で、内容はかなり濃いです。
できれば複数回読んで、この話をじっくりと味わって欲しいと思います。







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